知る人ぞ知る北海道のご当地グルメ「ラムしゃぶ」をご存じですか?しゃぶしゃぶといえば「豚肉」「牛肉」という印象が強いですが、実はラム肉でもおいしくいただけるんです。ラムしゃぶのレシピや相性の良い具材、美味しく食べるためのコツまで詳しくご紹介します。
ラムしゃぶとは
ラムしゃぶの意味
ラムしゃぶとは、その名の通りラム肉のしゃぶしゃぶです。お湯や薄く出汁をとったスープに薄切りのラム肉を湯通しして、ごまだれやポン酢などのたれをつけて食べます。
聞きなじみのない方も多いかもしれませんが、北海道民の方々には人気の食べ方で、豚肉や牛肉の「しゃぶしゃぶ」とは別の料理として捉えられることが多いようです。
ラムしゃぶの特徴
ラム肉は肉質が柔らかいので食べやすく、ビタミンB2などのビタミン類や必須アミノ酸、鉄分、カルシウム、タンパク質、Lカルニチンなど栄養素が豊富に含まれているうえに低カロリーで、いいことづくめのお肉です。
特にLカルニチンはアミノ酸の一種で、脂肪燃焼を促進したり、中性脂肪やコレステロールを減らしたりする働きがあると言われています。含有量はラム肉がトップクラスで、豚肉の約2倍含まれています。年齢を重ねるごとに減少していく栄養素なので、豊富に含まれているラム肉から補うと良いでしょう。
「ラム肉独特のクセのある香りが苦手…」という方も、薄切りのラム肉を野菜と一緒に味わうラムしゃぶなら美味しく食べられるかもしれません。
ラムとマトンの違い
「ラム」といえば、一緒に思い浮かべるのは「マトン」ではないでしょうか。ラムとマトンはどちらも羊肉ですが、その違いは一般的に生育期間です。日本の定義では、ラムは生後12ヶ月未満、マトンは生後2年~7年程度とされています。正確な年齢が分からない場合、永久歯の有無によって判断することもあります。
ラムは色がピンクで、肉質が柔らかく、独特のクセのある香りが少ないため日本人に好まれます。一方マトンは色が赤みがかっており、ラムに比べて硬く、羊独特の匂いも強くなります。その臭みが苦手という人も多いですが、コクや旨味も増すので、好みが分かれる味と言えるでしょう。
また、「ホゲット」という種類もあります。生後1~2年の羊肉を指し、日本ではマトンと同じ扱いになるため馴染みがないですが、ほどよい弾力と旨味を持つため好む人も多いです。
ラムしゃぶの歴史
そもそも、北海道でジンギスカンなどのラム肉が有名なのはなぜでしょうか。
それは大正時代にまで遡ります。第一次世界大戦中、軍の防寒着を作るために羊の増殖計画が実施され、全国5か所に種羊場が開設されました。しかしその後、安価な化学繊維や輸入羊毛が増加したため綿羊は不要となり、余った羊を有効利用するために食肉として食べられるようになったのです。
日本では北海道がラムしゃぶの本場ですが、もともとモンゴルで発祥した羊肉鍋が中国に伝わり、ラムしゃぶの原型「涮羊肉(シュワンヤンロー)」が生まれたともいわれています。「涮羊肉」は火鍋の一種とされており、中国の北方地域では冬の定番料理として親しまれています。
ラムしゃぶのレシピ
ここからは、ラムしゃぶを美味しく食べるためのレシピをご紹介します。ラムしゃぶを食べる時の鍋の出汁は、昆布だしやかつおだしなどでほんのりと香りを出すのがおすすめです。出汁なしでお湯だけでしゃぶしゃぶをして、たれをつけて楽しむ方もいるようです。
材料(2人分)
作り方
- 鍋に水、昆布を入れて30分程おく。
- 野菜を食べやすい大きさに切る。
- 鍋に火にかけ、沸騰する前に昆布を取り出し、酒を入れてひと煮立ちさせる。
- 野菜を加えて火が通ったら、ラム肉をお湯にさっとくぐらせて、野菜と一緒にたれにつけていただく。
ラムしゃぶに合う具材
ラムしゃぶは、お好みの野菜や具材を入れて自由にアレンジして楽しむことができます。白菜、大根、きのこ類、水菜、豆腐など、鍋に入れる具材は基本的に何でもラムしゃぶとの相性が良いですが、その中でもラムしゃぶに合うおすすめの具材を紹介します。
もやし
ラムしゃぶの本場の北海道では、ラムしゃぶの具材の定番としてもやしがよく食べられているようです。シャキシャキとした触感とクセのない味が、独特の香りのあるラム肉とよく合います。
長ネギ
鍋の具材といえばやはり長ネギです。そのまま煮込んでも美味しいですが、一度焼いて焼き色を付けると甘味が増し、さらに美味しくいただくことができます。
ニラ
ラム肉独特の香りが苦手という方は、強い香りと風味があるニラと一緒に食べることで、ラム肉の香りが薄まり食べやすくなるかもしれません。
ラーメン
ラムしゃぶの〆には、ラーメンがおすすめです。スープにしみ込んだラム肉と野菜の出汁で最後まで美味しくラムしゃぶを楽しんでください。
ラムしゃぶを食べる時のたれ
スーパーなどにある市販のポン酢やごまだれでラムしゃぶを味わうのも良いですが、より本場の味に近づけたいならラムしゃぶ専用のたれを使うとよいでしょう。北海道民には有名な食品企業「ソラチ」や「ベル食品」などがラムしゃぶ専用のたれを販売しています。
北海道で羊が食肉として食べるようになった最初のころ、臭いが強くクセのある羊肉は美味しいとは感じられず、普及しませんでした。そんな中、ベル食品がラム肉用のたれを開発し、一緒に鉄鍋を貸し出したことで、一般家庭にラム肉が広まったと言われています。
現在では、さまざまな企業からラム肉を美味しく食べるためのたれが販売されています。
ラムしゃぶを美味しく食べるコツ
ラムしゃぶをより美味しく食べるために、いくつかコツを知っておくと良いでしょう。
こまめにアクを取る
ラム肉から多くのアクが出るので、こまめにアクを取るようにしましょう。そのままにしてしまうと、ラム肉の臭みが野菜にも移ってしまい、全体的にクセの強い味わいになってしまいます。
玉ねぎおろしや大根おろしをたれに入れる
玉ねぎや大根をすりおろしてたれに加えて食べると、ラム肉の独特の香りを感じにくくなり食べやすくなります。ひと手間を加えることで各段に美味しさがアップします。
専用のたれで食べる
スーパーなどにある市販のポン酢やごまだれでラムしゃぶを味わうのも良いですが、より本場の味に近づけたいならラムしゃぶ専用のたれを使うとよいでしょう。北海道民には有名な食品企業「ソラチ」や「ベル食品」がラムしゃぶ専用のたれを販売しています。
まとめ
北海道の方々に愛されるご当地グルメ「ラムしゃぶ」。材料があれば手軽に作れて、栄養素も高くヘルシーなので、ぜひ一度味わってみてください。